漆器は良くも悪くも素材から

大石です。

「漆器は良くも悪くも素材から」と常日頃から思っています。

前回は「かもめ椀」の南部せんべいのようなバリについて話しましたが、
バリをチェックした後の「研磨」の話をします。

研磨の方法は、
・「バフ研ぎ」(モーターの先に専用の布を付けて回転させ、そこに商品を押し当て研磨)
・「砂研ぎ」(透明な箱の中で砂を勢い良く吹付ながら商品にキズを付ける)
などもがありますが、
かもめ椀
水研ぎ(回転台に商品を固定し、サンドペーパーに水を付けながらキズを付ける)で研磨します。

かもめ椀
↑かもめ椀

かもめ椀の研磨作業は、基本的に社内で行っています。
理由はいくつかありますが、大きなポイントは品質管理。
「研ぎがあまい」=十分に研げていない場合、剝離の原因になる。
「研ぎにムラがある」=塗りムラになる可能性が高い。
など研ぎにもチェックする項目があり、塗ってしまってからでは手遅れになってしまう、塗る前に最も重要な作業です。

近年、職人さんの高齢化や後継者不足に伴い、いつもお世話になっておいる職人さんも減ってきていますが、
特に研磨作業をされている方は、低賃金の割に時間がかかる地味な作業のため、人数も少なく限られています。

以前「ロボットが塗ったりしているんでしょう?」と言われたことがあります。
確かに機械は使用しますが、ロボットが研磨したり、塗ったりしているわけではありません。
ほとんどが、人の手と職人さんの経験と感覚で商品が出来上がります。

「漆器は塗り物」と表現されますが、「良くも悪くも素材から」です。