2019.02.01
カテゴリ:漆器の加工
ノンスリップ盆の塗り直し
大石です。
毎年このくらいの時期になると、お盆やお椀の修理を依頼されてくるお客様がいます。
お盆の修理は、ノンスリップ(滑り止め)の商品で、弊社でも塗り直しが難しいと思っているジャンルです。
それは、塗りの劣化がひどい場合、研ぎを入れると凹凸が目立ち、ゴム状の塗膜を研ぐのが非常に困難なため、満足のゆく仕上りになりにくいからです。
それゆえ、例年ですとこちらの商品は渕の朱(赤い部分)のみの修理でした。
今回は見た目には綺麗で劣化は進んでいませんが、ノンスリップ効果が失われていましたので、全面的に塗り直す方法を勧めました。
先ず「油分を落とす作業」です。
写真のようにサンダーを使い、食器用洗剤で表面の油分を十分に取り除きます。サンダー(振動する機械)にはスコッチを付けているので、弊社では「油研ぎ」=(油分と研ぎを同時に行う)と言っています。
以前お話した「漆器はよくも悪くも素材から」でかもめ椀の研ぎについて話しましたが、要領は一緒で、こちらの回転台を用いて研いでいます。
↑写真は丼椀でスコッチでの油研ぎです。
修理にあったって、塗る職人さんが綺麗に塗れるか?修理品を再度使うお客様に満足してもらえるか?を想像しながらの作業です。出来るなら新品のようになればと願います。
仕上がりが楽しみです。